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10月, 2012の投稿を表示しています

症例:椎間板ヘルニア・グレード4

ミニチュアダックスフンド、雄、9歳、体重5.0kg 主訴:後肢の麻痺、起立困難 症状:後肢完全麻痺、深部痛覚あり、起立不可、神経学的グレード4 経過:20日ほど前に後肢不全麻痺発症。その後徐々に症状が進行している。 クライアントの希望:かかりつけの獣医師にはステロイド剤を利用した内科的治療を勧められているが、改善が認められない。手術で回復する可能性があるなら、手術したい。 初診時の様子 MRI T2WI T13-L1に椎間板ヘルニアを認める。 MRI T2WI T13-L1 右側に逸脱した椎間板物質を認める。 術式:片側椎弓切除術(ヘミラミネクトミー、Hemilaminectomy)  手術時所見 椎間板物質摘出前 手術時所見 椎間板物質摘出後 術後3日目の様子 基本的にケージレストによる安静下管理ですが、症状の改善を確認するために歩かせてみました。術前の麻痺が改善し、少しですが歩行できるようになってます。 注)椎間板ヘルニアの手術を安全に行うためには、専門の知識、経験、技術を必要とします。

症例:脊髄腫瘍(1)

ミニチュアダックスフンド、雌、11歳、体重4.85kg 主訴:運動したがらない。 症状:四肢不全麻痺 経過:初診時の2週間ほど前から運動したがらなくなった。後肢の歩様失調から始まり、徐々に前肢の脱力が目立つようになってきた。  初診時の様子。四肢が麻痺してうまく動かせない。起立することも難しく、すぐに伏せてしまう。 T2wI Sagittal C1-2間に硬膜内髄外腫瘍が見つかりました。 T2WI Axial  T2WI Coronal T2WI Coronal 腫瘍の形状(神経孔から外に出て筋間を延びていく)から、末梢神経鞘腫(シュワノーマ)が疑われます。 MRI検査後、そのまま手術を実施。 手術時写真。脊髄に隣接する腫瘍の一部が確認できる。 摘出した腫瘍の一部。 手術後3日目の様子。 四肢の麻痺が改善してきています。 手術後7日目の様子。 自由に歩行できるようになりました。 明日、退院の予定です。 注)脊髄腫瘍の摘出手術を安全に行うためには、専門の知識、経験、技術を必要とします。

椎間板ヘルニア・グレード4:術後回復(動画)

ミニチュア・ダックスフンドは胸腰部椎間板ヘルニアの発生頻度が高い犬種です。 残念ながら効果的な予防方法はありませんが、グレード3およびグレード4の術後回復率は比較的良好です。 術後回復の様子を掲載しますので、参考にしてください。   ミニチュアダックスフンド 椎間板ヘルニア・グレード4(両後肢の麻痺、起立困難、深部痛覚あり)     この症例は、術後2日目に起立可能となり、術後5日目には自由に歩行可能となりました。 もちろん個体差はありますが、術後1週間以内に改善傾向の認められることが一般的です。 また、発症後早期に手術をしたほうが、早期に回復する傾向が認められています。   注)椎間板ヘルニアの手術を安全に行うためには、専門の知識、経験、技術を必要とします。           

脊髄再生:BM-MNC移植後の歩様(動画)

日本獣医生命科学大学動物医療センターでは、脊髄の再生医療を行っています。 ダックスフンドの椎間板ヘルニア・グレード5症例に自家骨髄由来単核細胞(BM-MNC)を移植し、歩様が少しずつ改善していく様子を動画でご紹介します。     ちなみに、音声は消去してあります。   この症例のように、脊髄歩行様の歩行回復を示す症例が多いです。     骨髄由来単核細胞(BM-MNC)移植術を用いた脊髄再生療法をご希望の方は、本学動物医療センターまでご連絡ください。   日本獣医生命科学大学 動物医療センター 整形外科 担当:原田 TEL:  0422-90-4000      

手術撮影用カメラ(1)

手術時の撮影、皆さんはどうされていますか? 私は自分で撮りたい派なので、デジタルカメラを水中撮影用ハウジングに入れたものを、ガス滅菌して使用しています。 カメラ:Canon PowerShot S100 水中ハウジング:IKELITE製 PowerShot S100用水中ハウジング マクロレンズ:OLYMPUS PTMC-01 触角ライト:Cherry 譜面台用LEDライト CL-004 ライトON! LEDライトの表面にサージカルテープを貼ると、適度なフレア効果が得られます。 EOG滅菌した状態 注)防水パッキンを付けたままガス滅菌すると、インキュベート後にハウジング内が陰圧になり、蓋を開けられなくなります。私はパッキンを外し、代わりにビニールテープを付けています(緑色の部分)。 手術時の撮影風景。カメラ全体が滅菌されているので安心です。 ただし、水中ハウジングを使用すると大型化してしまうのが弱点です。 (これだと、デジタル一眼をそのまま滅菌してもいいような気が。。。) LPL VLR-490 装着時 LEDリングライトも使いやすく、最近のお気に入りです。 サンプル画像1 (片側椎弓切除術) サンプル画像2 (片側椎弓切除術)

自家骨髄由来単核細胞を用いた脊髄再生

当研究室では、犬の脊髄再生に関する研究を行っています。 現在までに我々が行ってきた臨床研究では、自家骨髄由来単核細胞(BM-MNC)の移植により、重度脊髄損傷症例の術後回復率に有意な改善が認められています。 Autotransplanting of bone marrow-derived mononuclear cells for complete cases of canine paraplegia and loss of pain perception, secondary to intervertebral disc herniation. Tamura K, Harada Y, Nagashima N, Itoi T, Ishino H, Yogo T, Nezu Y, Hara Y, Suzuki Y, Ide C, Tagawa M. Experimental and Clinical Transplantation. 2012 Jun;10(3):263-72. 概略) 胸腰部椎間板ヘルニア・グレード5(両後肢の完全麻痺、深部痛覚消失)を呈するダックスフンド36頭に対して、片側椎弓切除術および自家骨髄由来単核細胞(BM-MNC)の移植術を行ったところ、術後の歩行回復率は88.9%を示した。片側椎弓切除術のみを実施した46頭のダックスフンドの回復率は56.5%であったため、BM-MNCの移植術が回復率の上昇に寄与したものと考えられた。 BM-MNC: 片側椎弓切除術後に骨髄由来単核細胞を移植した症例群 Control: 片側椎弓切除術のみを実施した症例群   (ミニチュア・ダックスフンドの椎間板ヘルニア・グレード5症例を対象とした調査)     骨髄由来単核細胞(BM-MNC)移植術を用いた脊髄再生療法をご希望の方は、本学動物医療センターまでご連絡ください。 日本獣医生命科学大学 動物医療センター 整形外科 担当:原田 TEL:  0422-90-4000