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12月, 2012の投稿を表示しています

症例:小型犬のレッグペルテス病

トイ・プードル、12ヶ月齢、 主訴:左後肢跛行 症状:左後肢の跛行、挙上 経過:1ヶ月ほど前から、左後肢の跛行と挙上が始まった。NSAIDsの処方によりある程度改善が見られるものの、依然として軽度な跛行が続いている。また、室内でも気が付くと左後肢を上げている時が多い。筋肉量も低下している。 来院時の歩行状態。極軽度の跛行で、注目しなければ気づかないレベル。 左股関節の触診。明らかな伸展時疼痛が認められる。他の関節には異常を認めない。 股関節伸展時VD像:明らかな異常を認めず。  股関節・フロッグレッグポジション像:左大腿骨頭の偏平化(白矢頭)と、関節腔の拡大(黒矢頭)が認められる。 CT所見:左大腿骨の骨頭に骨密度低下領域(白矢印)を認める。骨頭部の部分的壊死と評価し、レッグペルテス病と診断する。大腿骨頭切除術(Femoral Head Osteotomy)を実施する。 大腿骨頭切除術後のレントゲン。大転子から小転子を結ぶラインで大腿骨頭および骨頸を切断(黒矢頭)。寛骨臼もできるだけ平坦化する(白矢頭)。 手術から1ヶ月後の歩行状態。跛行は改善し、元気に歩行できるようになっています。 術後2ヶ月目の股関節伸展時VD像。リモデリングが認められ、大腿骨側は凹状にカーブし(黒矢頭)、寛骨臼も平坦化する(白矢頭) 術後4ヶ月目の股関節伸展時VD像。リモデリングがさらに進行し、きれいなカーブに仕上がっている。患肢の跛行や挙上はまったく見られなくなり、筋肉量にも回復傾向が認められる。 このように、大腿骨頭切除術後の股関節はリモデリングが進行し、きれいなカーブで成形された面と面で擦れあうタイプの関節が再生する。このような治療経過には、術後のリハビリテーションが重要であり、可能な限り術後早期から受動的な関節運動を実施するべきである。 レントゲンで患肢のほうが短く見えるのは、術後も患肢を完全に伸展できないため、見かけ上短く写ってしまっているためである。大腿骨頭切除術後の運動機能回復は、特に小型犬で良好なため、歴史的にも古くから用いられてきた手術方法であるが、より良い関節機能の回復には、人工関節のほうが理想的なのではないかな、と考えている。

手術撮影用カメラ(3)

手術撮影用カメラの話題です。 前回のPENTAX Optio WG-2の教訓から、F値の低い防水カメラを調べました。 OLYMPUS Tough TG-1 のF値はなんと、2.0です。 さらに、別売りのアダプターを利用すると、オプションレンズやフィルター類を接続できます。40.5mm>>52mmや、40.5mm>>67mm のステップアップリングを利用して、クローズアップレンズやLPLのLEDリングライトを装着することも可能です。 OLYMPUS Tough TG-1 内臓のLEDライトも明るく、汎用性が高そうです。椎間板物質(矢頭)摘出前。 椎間板物質摘出時。 椎間板物質摘出後。 予想以上に画質の高い画像が撮影できました。内臓LEDは1個ですが、PENTAX Optio WG-2 に比較してかなり明るいです。使い慣れれば、メインカメラに昇格できるかもしれません。 注)防水カメラのガス滅菌時、バッテリーケースの蓋等を密閉した状態で滅菌すると、カメラ内部が陰圧化し液晶パネルなどが変形しますので、ご注意ください。必ず、蓋部は開けた状態で滅菌してください。

手術撮影用カメラ(2)

手術用カメラの話題です。 検索してみますと、水中ハウジングを利用して手術を撮影する方法は、以前からヒトの病院では実施されているようです。どうやら、ガス滅菌を繰り返すことで、ハウジングがだんだんと劣化していくようです。 現在私は、Canon PowerShot S100をハウジングに入れた状態でガス滅菌しています。ハウジング内にもEOGガスが進入しますので、いつかデジカメ本体も壊れるのでしょうか?いつごろ壊れるのか、耐久試験のようで楽しみです。 PowerShot S100の画質には満足していますが、ハウジングを利用することで大型化してしまいます。もう少しシンプルにならないかなと思い、防水カメラをテストしてみました。 最初に試したのが、PENTAX Optio WG-2です。レンズ周囲にLEDがリングライト風に内蔵され、マクロ撮影に有利な機種とのコメントがあったので期待しましたが、残念な結果でした。PENTAX愛好家の皆様なら克服できると思いますが、私にはピントすら合わせられません。 PENTAX Optio WG-2 レンズ周囲に配置された6個のLEDライトが魅力的でした。  すいません、光量が足りてません。さらに、血液の色味が不自然です。  すいません、脊髄にピントが合っていません。 奇跡的な一枚。今となってはどの設定条件でこの写真が取れたのか思い出せません。 期待が高かっただけに、残念です。PENTAX Optio WG-2のF値は3.5(W)~5.5(T)です。 手術撮影用は明るいレンズのほうが有利なように感じますので、次回はもっとF値の低いカメラでテストしてみたいと思います。