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手術撮影用のビデオカメラ

手術中の動画撮影に関する話題です。 私は手術の様子をカメラだけでなく、ビデオでも撮影しています。また同時に、その映像を手術室内の大型ディスプレイに映写しています。私が手術の動画を撮影するようになったきっかけは、実習中の学生になるべく手術を見て興味をもってもらいたかったからです。手術の細かい内容は周辺からでは見えにくく、遠巻きに見学してるだけでは退屈かもしれません。あるいは、手術しながら説明する場面では、術者が見ている様子そのものを見てもらうのが効果的と考えました。 医療用として販売されているビデオカメラシステムは数十万円から数百万円する高価なものばかりで、とても個人で購入できるものではありません。近年のビデオカメラの進化はとても早く、ハイビジョン画質がいつの間にかフルハイビジョンに、そして今では4K画質から8K画質にまで向上しています。一般的に販売されているビデオカメラでどれくらいの画質の手術動画が撮影できるのかを検証してみたくなったのがきっかけで、このようなことに興味を持ち始めました。 手術中に動画撮影をする目的 1)教育用: 手術の様子を見学することで、教科書には書かれていない技術的内容(例えば、手の動かし方、器具の使い方、患肢の保持の仕方、ランドマークの見つけ方、など)に対する理解が深まります。術者目線で撮影されているとより一層効果的でしょう。将来的には3D撮影もしてみたいです。 2)記録用: 手術動画が記録用として保存されていると、何か理由が発生した際にいつでも内容を確認することができます。手術はコンサートや運動会と同じように、1回きりのイベントです。その時に撮影しておかないと、2度目のチャンスはありません。私は2TBのHDDに動画をコピー保存していますが、FHD(フルハイビジョン)画質で約150件くらいの手術動画(1~3時間/件)を記録できます。 3)ライブビュー用:本学の動物医療センター手術室には大型ディスプレイが設置されており、手術の様子をライブビューで観察できるようになっています。このような環境を整えることで見学実習生の学習効果がより高まると考えられますし、麻酔師やその他のスタッフにとっても手術の進行状況が確認しやすくなりました。 ↑現在、私が使用しているのはパナソニックのHC-VX980Mです。FHDで

手術撮影用カメラ(dicapacを利用する方法)

手術中の写真撮影に関する話題です。 手術用の滅菌カメラを使う上で最も安価な方法はDiCAPacを使う方法だと思います。 注) 手術中の撮影装置に関しては、直接患者に接触しないため、「医療器具」に該当しないと考えられています(執筆時点)。ですから、獣医師の責任と判断のもと市販のカメラを滅菌して使用することができます。実際には、カメラを滅菌したケースに入れて使用します。 DiCAPacはビニール製の防水ケースで、レンズ面には透明ガラスが使用されています。 汎用サイズなので、自分のデジカメの大きさにあったサイズを選んで使用します。 http://www.dicapac.jp/     ↓Canon Powershot S110を入れてみた様子 ↓上から見た様子。電源ON後に突出してくるレンズに形が合うように工夫されています。 ↓液晶側 ↓ビニールが柔らかいので、電源やシャッターなどのボタンを押すのは容易です。ダイヤルを回すのは無理だと思います。テレ~ワイドのズームレバーは何とか操作できます。 ↓DiCAPacはエチレンオキサイトなどのガス滅菌が可能です。ただし、そのままの状態だとカメラの挿入口付近を汚染してしまう危険性がありますので、ちょっと一工夫が必要です。 私の場合、封筒のサイズがちょうどよく適合したので、封筒のしたをハサミで切って筒状にしたものを利用しました。 ↓封筒の底を切ったものをDiCAPacの中に挿入しておきます。この状態で滅菌パックに入れて、ガス滅菌します。 ↓滅菌したDiCAPac を術者は受け取り、下の写真のような方法で外周りの介助者にデジカメを挿入してもらいます。この時、デジカメおよび介助者の手は封筒のみに触れるように注意して挿入します。 ↓反対側から見たところ。術者はDiCAPacの下側のみを持ち、封筒には触れないように注意します。     ↓カメラを挿入できたら、介助者は封筒の上だけを持ってDiCAPacから引き抜きます。写真ではひとりで操作しているので写っていませんが、実際にはDiCAPacの下側を術者が持っているものと考えてください。  このような方法で、封筒を一枚利用するだけでDiCAPacの

X-ray Magnification Indicator 自作

レントゲン撮影時の話題です。 最近ではTPLO手術の件数が増えてきました。とくに小型犬での適応症例数が増えてきていますが、これは、パテラの内方脱臼と前十字靭帯断裂を併発している症例に対してTPLOを利用した場合の術後成績を評価しているからです。 TPLO実施時には、インプラントのサイズや配置、骨切りのラインを正確に作図して術前計画を練る必要があります。印刷されたレントゲン画像は、骨格の形状を正確に描写しているように見えますが、実は拡大されていることが多々あります。これは、一般的なレントゲン撮影台では被写体(患肢)とレントゲンフィルム(カセッテ、フラットパネル)の間が数センチ離れているため、、若干(10%前後)拡大撮影されてしまうのです。 そのため、骨格の大きさを測定する場合は、レントゲンフィルム(カセッテ、フラットパネル)の直上に患肢を載せるようなコンディションで撮影しないといけません。ただし、DRなどでは、プリントアウト時にパソコンとプリンターの相性でなぜか等倍印刷されないことがありますので、注意が必要です。 このようなことから、せいかくな測定が必要となるようなレントゲン撮影時には、長さの基準となるマーカーを一緒に撮影することが理想的です。 ↑のレントゲンのように、レントゲンマーカーを一緒に入れて、撮影します。 これは、Biomedtrix社のX-ray Magnification Indicator (100mm X-RAY MARKER)で、鉄球間の距離を測って、実寸より何%拡大されているかを計算します。このレントゲンでは、108mmでしたので、8%拡大されていることが分かります。 ↑Biomedtrix社の100mm X-RAY MARKER それぞれの鉄球の左端から左端までの距離がちょうど100mmになっている。 知り合いの先生から、このレントゲンマーカーを貸してほしいと依頼がありました。日本国内ではこのような製品の販売が無いので、米国のBiomedtrix社にメールして購入しなければなりません。確かにちょっと面倒ですし、納品までに時間がかかりそうです。 そこで、なにかいい方法はないかと考え、タミヤの工作シリーズを思いつきました。 ↑タミヤ 楽しい工作シリーズ(パーツ) ロングユニバーサルアー