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自家骨髄由来単核細胞を用いた脊髄再生

当研究室では、犬の脊髄再生に関する研究を行っています。

現在までに我々が行ってきた臨床研究では、自家骨髄由来単核細胞(BM-MNC)の移植により、重度脊髄損傷症例の術後回復率に有意な改善が認められています。

Autotransplanting of bone marrow-derived mononuclear cells for complete cases of canine paraplegia and loss of pain perception, secondary to intervertebral disc herniation. Tamura K, Harada Y, Nagashima N, Itoi T, Ishino H, Yogo T, Nezu Y, Hara Y, Suzuki Y, Ide C, Tagawa M. Experimental and Clinical Transplantation. 2012 Jun;10(3):263-72.

概略)
胸腰部椎間板ヘルニア・グレード5(両後肢の完全麻痺、深部痛覚消失)を呈するダックスフンド36頭に対して、片側椎弓切除術および自家骨髄由来単核細胞(BM-MNC)の移植術を行ったところ、術後の歩行回復率は88.9%を示した。片側椎弓切除術のみを実施した46頭のダックスフンドの回復率は56.5%であったため、BM-MNCの移植術が回復率の上昇に寄与したものと考えられた。


BM-MNC: 片側椎弓切除術後に骨髄由来単核細胞を移植した症例群
Control: 片側椎弓切除術のみを実施した症例群
 
(ミニチュア・ダックスフンドの椎間板ヘルニア・グレード5症例を対象とした調査)
 
 
骨髄由来単核細胞(BM-MNC)移植術を用いた脊髄再生療法をご希望の方は、本学動物医療センターまでご連絡ください。

日本獣医生命科学大学
動物医療センター
整形外科 担当:原田
TEL:  0422-90-4000
 
 
 
 
 


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